「女友達」「二人でスローダンス」で楽しむ声の表情!!
アルバム「AFTER HOURS」

ファンの方々が、かなり前のアルバムの曲への思い入れをお話されるのを聞き、いくつかのアルバムを聞いて見ました。その中で、高橋真梨子さんの声の表情を、楽しめるアルバムの一つを紹介します。

「AFTER HOURES」(’82年秋発売)には、今でもよく聞く「涙もろいペギー」「OLD TIME JAZZ」など、しっとりと聞かせる歌が並んでいます。どの曲も、バックの演奏が、控えめでその分、彼女の声を十分楽しむことができます。

「女友達」
〜あなたと私 似た者同士〜
と「女友達」は、語りかけるような歌い方で始まります。前半は、ちょっとかすれた、しかし、しっとりとした声が心にしみてきます。女友達に、話し掛ける時は、こんな感じの声だろうか、と思わせてしまう、声の表情。

〜あの人のことは もうそれくらい 泣くだけ泣いたら もう忘れましょうよ〜
さびの部分では、力のこもった声の響きが、圧倒的な力を持って訴えてきます。舞台であれば、主人公が暗がりの相手と距離をおき、ひとり控えめなスポットライトを受けて独白をする場面でしょうか。ここでは、何かを突き抜けたような、乾いた感じの声が、胸に響きます。

〜今夜は二人で飲み明かしましょうよ〜
と、歌う繰り返しに似た者同士といいながらまったく似ていない「女友達」の強い絆を感じてしまう。彼女の声の表情からいろいろなことを考えてしまいます。

「二人でスローダンス」
〜Slow, quick, quick, slow dance
Woowow slow, quick, quick, slow dance 〜
この歌全体を覆う、甘く切ない感情を、イントロのコーラスがまず予感させます。
気持ちを押さえ気味にした淡々とした歌い方が、そんな雰囲気を聞くものに十分に感じさせ、つい引き込まれてしまいます。
〜今だって好きだわ〜

〜人より私 気づくのが遅いの〜
自分ではどうにもできない気持ちの揺れ動きを、自分に語り掛け、言い聞かせるように淡々と歌いつづける後半。次第に高ぶってくる思いを、おもてにだすまいとする歌い方に一層、切なさを感じるのは私だけでしょうか。

〜粋なJAZZなんか 聞こえないけれど〜
歌う声の力強さとは、裏腹に彼女の姿が見えなくなるエンディング。なんだか不安定な気持ちでこの曲が終わります。これは一体何だろう、皆さんは、どうですか。一度聞いてみて下さい。

「AFTER HOURES」
tiptopの洗練された声の表情と違った彼女の声を、様々に感じ、楽しむことができるこのアルバム。どの曲の中にも、表情の変化があり、大満足、間違いなしです。

...そして、さあ、元気な高橋真梨子さんを応援に、コンサートに行きましょう。
(TKN 98/3/15)