登場人物を数えて楽しもう?
ベストアルバム「REPLAY」

ベストアルバム「REPLAY」は、スタンダードとなったヒット曲「ジョニーへの伝言」「5番街のマリーへ」のほか、最新アルバム「tioptop」からの新曲など、14曲が入っています。
彼女の声に耳をすますと、様々な情景が目に浮かんできます。そして、その中の誰かになりきって聞く時、歌声の向こうにある世界が急に身近に感じられ、曲が終わったあとの満足感が何倍にもなります。

「5番街のマリーへ」の登場人物は何人?

「5番街のマリーへ」には、何人の人が登場すると思われますか。
まず「私」が、「友達」に5番街の「マリー」を訪ねてほしいと、言っていることから少なくとも3人が登場するのはすぐ分かります。でも、曲の中の誰かになって聞いていると、様々な人が浮かんできます。
マリーのことを知っている5番街の「昔からの人」、そして、ひょっとするといるかもしれないマリーの「夫」と、小さな子供たち。もっと、いえば「昔の自分」「昔のマリー」も、浮かんでは消えていきます。


皆さんは、その中の誰になりきって曲を聞いていますか。
マリーを訪ねてほしいと頼んでいる「自分」、あるいは、マリーを訪ねていこうとしている「友達」でしょうか。(私の場合は、「5番街のマリーへ」の話を、芝居のように見ている第3者です。)
短い「5番街のマリーへ」の中には、こんなにたくさんの人物が登場しますが、人物の性格がシンプルでわかりやすく、曲を聞いた後の感じはさわやかですっきりとしています。
そして、曲の後に残るのは、舞台となった5番街という街全体のイメージ。


「ジョニーへの伝言」もよく似た設定で、登場人物は「自分」と「ジョニー」と、「友達」です。そして、曲の後に残るのは「バス停のある寂しげな町」。ここでは、私は「友達」になって聞いています。


私の好きな「グランパ」も、同じように「私」、「彼」そして「グランパ」が登場人物で、曲の後に残るのは「ウェストコーストの小さな酒場のある町」。ここでは、私は、もちろん「グランパ」になって聞いています。人生のすべてが分かっているような渋いグランパ!!


「for you・・・」は、二人・・・

大ヒット曲「for you・・・」は、真梨子さんの歌う「演歌」のようなものです。登場人物は、単純に2人だけ。「あなたがほしい・・・すべてがほしい」と歌う時、私たちはその姿を自分に重ねあわせて聞いています。舞台装置も何も無く、屈折した気持ちを歌うのではなくただただ、素直に自分の気持ちを歌っているこの曲。そんなストレートさが、伸びやかで力強い声の響きにマッチして、好感が持たれているのでしょう。


「ジュン」「「蜃気楼」も、この歌に似て、登場人物は2人。シンプルな設定の曲は、ぴったりくれば、大好きな曲の一つになります。そして、後で聞くと、その時の思い出と重なって涙なくしては聞けない曲になったりします。みなさんの場合は、いかがですか。
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「君の海に」と「ハッピーエンドは金庫の中」

〜”貴方には 彼女、似合いだね"と 明るかった君が 涙こぼしてた〜
「君の海に」の登場人物は、「私」と、「君」と君の「彼女」の3人ですが、実像としてあるのは、歌詞の主人公の「私」ではなく、「君」と呼ばれている人物です。
「君」を主人公にしながら「私」の思いを、前半切々と、そして後半は力強く歌う曲の構成。
〜さよならの歴史が 逆戻りできたら 鳥に生まれて 飛んでく 君を探すため〜と歌う前半。
〜さよならの歴史をきっと変えてみせる 秋の終わりに気づいた 誰を好きなのか〜と歌う後半。
鳥になって 飛んできてほしい、誰が好きなのか気づいてほしい・・・・・そんな思いが、歌全体から伝わってきて、息苦しい程です。


ここまでの説明で、そうだそうだと思われた方は、きっと女性の方に多いのではないでしょうか。私は、大好きなこの歌を何度も聴きましたが、正直に言うと国籍不明ソングです。曲の中で身の置き所が無くなるからです。


「ハッピーエンドは金庫の中」も、よく似た曲です。
これも、何気なく楽しんでいるうちは「のれる曲」なのですが、・・・・。
〜君と僕はむかし 恋人だったけどさ 男の気持ちなんて 今も解ってないね〜


この曲も、「君」、「僕」、「彼」と3人が登場しますが、3人の関係はこんがらかっていてよく解りません。それは、私が、歌の中の状況にうまく入り込めない事が原因です。なぜ、そうかって?それは、この曲が女性の思いを遠まわしに(屈折した心理で)に歌っていること、
もう一つ、私の経験不足で感受性、理解力が乏しいからでしょう。


ヒット曲は、舞台も登場人物もシンプル

ベストアルバム「REPLAY」の中で「Good -by Love」は、「君の海に」と、「ハッピーエンドは金庫の中」の間に挟まれた曲です。
この曲は、「1人称」の曲です。登場人物は「私」、「彼」、「彼女」と3人いますが、歌に入り込もうとすると、見えてくるのは「私」だけ。設定がシンプルなため、女性が主人公ですが男の私でも「なるほど」とか勝手なことを思いながら、人物の気持ちになりきって楽しむことができます。


「ごめんね・・・」も、よく似た設定で、曲の中に入り込んで、楽しむことができる曲。それは、「私」と「あなた」の関係が、シンプルな設定の中で歌われているからです。
誰にも当てはまるような設定で歌われていないと、曲に浸りきることができません。

味わいのある歌も、もちろん大好きです。しかし・・・・・・
ヒット曲は、舞台も登場人物もシンプル。
前半しっとりとしていて、後半元気が沸いてくるような曲。きらりと光る歌詞が、センスのいいメロディーにのって耳に運ばれてくる・・・・いいぞ!!


(TKN 98/5/17,24)


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