鉄穴流しによる砂鉄採集方法(その4) (「鉄山必用記事」 記述の鉄穴流し方法) 出典:「現代語訳 鉄山必用記事」 館 充 訳/丸善株式会社。枠内のみ、本書から転載。枠外記述は、TKN。 鉄山必用記事は、1784年下原重仲により著されたもの。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (その1) 七つ廻しという池川の作り方 P25 絵図1−5 一尋=5.3尺=1.6m 是迄三池とは、砂溜池、山池、引かし池か。 本図では、谷ばん池の下で 谷川から別に水路を設けている。砂鉄混じりの濁水は砂溜池、山池・・・と流れて行き、谷川筋へは上澄みの土砂の多い濁水が捨てられる。清水は乙池へ供給されている。 新見市千屋 蓬地区では鉄穴流しによる砂鉄採取が行われていた。上流には、崖が多い。谷川にそって一車線の道路が作られており、谷川と道路の間、谷川よりは1mほど高いところに水路らしきものが続いている。巾30〜60cm、途切れ途切れだが、総延長100m以上。ところどころに、崩れた石組みがある。そのつもりで見ると、鉄穴流しの「池川」に見えなくもない。道路の造成、拡張で鉄穴流し水路は埋められ、かってあった姿はなくなったのかも。 P25 絵図1−6 (その2) 二つ廻しの池川:春の雪融け水で砂鉄が採れすぎる鉄穴に設けるもの。2条の水路に交互に砂鉄混じりの濁水をため、下流への砂鉄の流出を防ぐ。 P26 絵図1−7 この絵では、谷ばん池の下流で谷川筋とは別に水路を設け砂鉄採取を行う。濁水は、各池から谷川筋へ落とす。清水の流路は描かれていないが(その1)と同じであろう。 (その3) 別の、二つ廻しの池川 P27 絵図1−8 この図では、砂溜池は谷川を使い、山池から谷川と別の流路になっている。図では、堰の方法は明確になっていないが、谷川へ濁水を落とす水路が池川をまたいでいるので、木で作ったしっかりした樋があったと思われる。羽内谷 鉄穴流し遺構 が、2条の流路を持っている。 (08.7.19)(08.10.3) |