中国山地のたたら製鉄
(08年をふりかえって)

08年、備中・備後のたたら製鉄の聞き取り調査を続けてきた。聞き取りは、現地の方々と触れ合うことができ楽しかった。鉄穴流しの方法がどのように発展してきたか、を中心に聞き取りを行ったが満足のいく内容にはならなかった。かなくそ探しと、たたら稼行地をさがすほうが面白く、また手ごたえがあってつい、そちらに走ってしまった。

たたら製鉄の山内・集落は現在ではまったく残っていない。跡地であるといわれる場所も、地名に昔そこでたたら製鉄がおこなわれていたことを示すのみ。たたらで働いていた人たちは、どこから来てどこに行ってしまったのだろう。先祖代々の土地を守って生きていく人たちがいる一方、たたら職人はどこからか来てそしていなくなった。無縁仏がわずかに人の気配を示すのみ。

働く場がなくなると、人の気配も跡形もなく、なくなってしまう。厳しく、悲しい現実だ。

09年は、江戸期の野だたらについて聞き取りをしようかと思っている。「お湯を沸かすのに、やかんも、瞬間湯沸かし器も、ボイラーも並存している。」江戸期にも、永代たたらと野だたらが並存していたことをこつこつ聞いて回れば面白いことが分かるかもしれない。



こんな絵を描くのは、久し振りだ。

(09.01.20)




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