六の原製鉄場跡鉄穴流し洗い池跡
(08.10.27訪問)

広島県庄原市西城町に復元されている鉄穴流しの遺構を訪問した。

1)洗い池は、上流から砂溜、大池、中池、乙池、洗樋と5つのセクションに分かれている。砂溜、大池、中池は20〜30cmと浅く、池(水路)の両側石積みは、大きな石が一段、あるいは二段に積み重ねらていた。これは、神郷町の宮ノ谷川の石積みと酷似している。
2)乙池、洗樋は30〜50cmと深く、池の両側石積みは、二段あるいは三段であった。これは、西粟倉村、千種の山の中の川沿いで見た水路に似ている。
3)六の原の池が、洗い池として標準的な大きさなのだろうか。西粟倉村、千種で見たものはこれより少し小規模のようだ。
4)得てして、自分が見つけた遺構らしきものを「間違いない遺構」と思いがちであるが、六の原の遺構を見て、鉄穴流し洗い池かもしれないなあとの思いを強くした。

参照
西粟倉村 大茅地区 現地訪問 ・・・鉄穴流し水路跡と思われる溝
新見市神郷町 油野地区 宮ノ谷川 現地訪問  ・・・鉄穴流し遺構かもしれない石列
兵庫県宍粟市 千種地区 現地訪問 ・・・鉄穴流しの水路跡と思われる溝

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(六の原の洗い池遺構)
全体概要を示すために、図面を示す。

六の原製鉄場跡鉄穴流し洗い池跡整備状況
(たたら製鉄 吉備考古ライブラリイ10 光永真一著 吉備人出版 P109)

以下は、現地写真。

現地説明板

  
砂溜、大池を上流から見る
池は浅く、石一段の高さしかない。山の中に残された遺構のこの浅い部分は、容易に埋まってしまうだろう。

  
左 中池を下流から見る
右 中池と乙池の間にある池

  
左 乙池 を下流から見る
右 乙池 を下流から見る 石積みは、二段になって高さは30〜50cmと深い。

  
左 洗樋を上流から見る 
手前は、乙池と洗樋の間の池
右 洗桶の最下流部 底には、板がはられている。深さは、30〜50cmで石積みは二段。

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この池が、いつ頃使われたのか判然としない。江戸後期、明治、大正まで使われていたのだろうか。

鉄穴流しの実際の姿が、イメージできるようになった。

(08.10.28)



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